中田サッカースポーツ少年団基本指導要綱
チームの勝敗より個々の育成を優先
基本的に、個人的な技能教育を主体として、長期的視野でこどもたちを育成することが大切です。
あくまで、試合の内容が大切なのであって、「勝利」という結果は単一の目的ではありません。
子供たちの技能レベルに合わせて、能力の高い者はより上位のカテゴリーにチャレンジするチャンスも与えましょう。
適切な動機付け
子供たちは、純朴に「勝ちたい」という欲求を強く持ちます。 あくまで競技スポーツなのですから負けてばかりのサッカーでは楽しくないし、勝利を大きな目標として、一生懸命に練習をします。 ですから、日常の練習課題や目標設定だけでなく、ひとつの大きな動機付けとして段階に合わせた適度な試合数を確保し、勝利の喜びも与える配慮が必要です。
とは言え、勝たせるために、こと細かな戦術を教え込み、試合中に細々と指示を与えるのでは無く、あくまで選手の日ごろの練習の積み重ねと、チームの自発的な行動に委ねることです。 日ごろの積み重ねが、必ず良い成果を生むはずです。
「勝利」したら、選手の健闘を称え、保護者と共に大いに喜び合いましょう。
より良い人間形成の環境作り
チームスポーツの中で協調、協力、といった人間性に磨きをかけることも大変重要なことです。 単純な個人技能育成にとどまらず、チームという限られた人員の枠の中に精神的な団結を生み出す環境作りも大切です。
「個性や自己表現」は「自己主張やわがまま」とは異なることを理解させ、選手同士がお互いに補い合い、「集団の中に個性を光らせる」より良い人間形成を、子供たち自らが自発的に学んで行くように仕向けましょう。
中田サッカースポーツ少年団指導者心得
サッカーが楽しくなる雰囲気を作り出すこと
子供同士の付き合いにも目を配ること
子供たち個々の発育状況を察知し、適切且つ合理的な指導を行うこと
子供たちの良いお手本となること指導者自身が身だしなみとマナーに気をつけよ
情熱を持ち、個性を発揮すること指導者が、情熱を持ち、強い個性を発揮する事は、良い意味で子供たちが迷わずに進んでいく推進力になる
自分自身を良く知ること選手に対してオープンマインドに接し、感情のコントロールを心がけ、独りよがりに成らないためにも、研究を怠らないこと
指導者同士で密接にコミュニケーションをはかること
名誉欲や親からのプレツシャーに負けず、指導コンセプトを貫くこと
年齢による成長レベルの違いと指導の基本
9歳以下
6から9歳ではプレゴールデンエイジにあたります。
好奇心旺盛で模倣能力に優れてくる段階ですので、型にはめる様な基礎動作の反復練習や特別なトレーニングはせず、「遊び」の中で神経回路を発達させて行くように工夫します。
この段階で、スポーツ(サッカー)に対する興味を膨らませると同時に、自分で考えたり工夫するようになる事を、サポートしてあげる環境作りが重要です。
まずボールに親しみ、可能な限りいろいろな動きを経験させ、良いプレーを見せる事を行います。
ボールテクニックは、蹴る事よりもボールを運ぶ、止める、方向を換えることを、重視します。 ボールを強く蹴りたいという欲求の解消に、シュート練習なども織り交ぜます。
9歳から12歳
神経系の発達がほほ完成に近づくことで、動作の習得に対する準備態勢が整ってきますが、しかしまだまだ、脳や神経系の柔軟性も残しているので、環境の変化に応じて行動様式を変化させられることが出来る、一生に一度訪れる大変特異な時期にあたります。
ゴールデンエイジと呼ばれ、あらゆるスポーツでの実戦的な技術の習得に最適な時期です。
但し、速筋繊維の発達が十分ではなく、骨の発達が盛んな時期なので、強さ速さではなく正確な動作習得を強調します。激しい運動をしても乳酸の蓄積が少なく疲れにくいので、絶対にオーバートレーニングに成ら無い様注意を要します。
個性や創造性を開発するためにも、自由な発想や意欲を妨げない様に、教え過ぎも過度な戦術的要求も与え無いようにします。
ボールコントロール、ポジショニング、体の動き、頭を動かして回りを見ること、これら基礎技術の反復練習を行います。 短時間で飽きの来ない、質の高い練習メニューとし、トレーニングの目的を明確に伝え、しっかりとした動機付けをさせます。
ミニゲーム−基礎練習−ミニゲーム、基礎練習はリフティング、ドリブル。フェイント、ストップ、トラップ、ワンタッチコントロール、シュート、パス、ヘディングに、さらに状況判断の要素を加味した練習を行います。
子供たち同士がコミュニケーションをはかり、自発的に意欲を育ませ、集団の中に個性を光らせる事が出来るように、人間性豊かな指導と環境作りを行います。
この段階が、将来へのすべての基礎となる事を明確に理解し、試合の戦績ばかりにこだわる様な偏った教え込み(ティーチング)をしてはなりません。
13歳から16歳
身長が急激に伸びたり、男性ホルモンの分泌により速筋繊維の発達が促進されるこの時期には、スピードの養成も徐々に行いますが、クラムジーと呼ばれる発育のアンバランス期にあたるこの時期には、新しい運動技能を修得するには有利な時期ではないので、それまでに習得した基礎技術の維持や質向上に重点を置いた指導が必要です。
思春期には心身のバランスが崩れ、情緒的に不安定な時期なので、心理学的なアプローチにより、自主的、内発的な動機付けを高められるようにサポートすることも大切です。
選手の発育状況に合わせて、骨の成長がほぼ止まる頃からは、筋力の発達状態に合わせたパワートレーニングを徐々に加えても良いですが、基本的にはボールスキルの獲得がトレーニングの中心になります。
17歳以上
心身の急激な成長過程を過ぎ、ここからスピードとパワーの増強を行い、ここまでに習得してきた基礎技能に磨きをかけています。
戦術、予測、判断、あらゆる面で学習能力が高まって来る、トッププレイヤー予備軍です。選手にとっては、さまざまな意味でサッカー人生のターニングポイントの時期になります。

指導者一同より
サッカーは、非常に広いコートの中で、激しくボールを奪い合い、攻守の局面が一瞬のうちに入れ替わる、大変激しい競技スポーツです。
個人の基礎技術ばかりでなく、体力的には瞬発能力と持久力の双方が要求されますし、オープンスペースを利用する戦術、オフ・ザ・ボールでのポジショニングと動きが、直感的且つ組織的に出来ることが要求される、非常に高度なスポーツです。
サッカーに限らず、このような総合的能力を身に付けるプレイヤーを育成指導するにあたっては、心身の成長時期に合わせ、適切かつ合理的なトレーニングを行うことがとても重要です。

どんな競技種目の選手でも、ほぼ20才を目安にピークパフォーマンスに達することが大切であり、そのすべての基礎能力習得の最適期にあたるジュニア世代の指導者は大変重要な使命を担っております。 とりわけゴールデンエイジにあたる時期では、チームで評価することよりも個人の能力開発に主体を置き、長期的視野に基づいて指導育成を行います。
選手には、貪欲にゴールを目指す事は指導しますが、偏った戦術を教え込んで勝利だけを追及する事はしません。

子供たちみんなには、個性的で創造力に優れた人間性豊かなスポーツマンになってほしいと思います。 中田サッカースポーツ少年団は6年生までですが、ずっと先の将来までサッカーを楽しんでいただけるようにと、切に希望いたしております。